STREAMING丨2026.09.28

『メイド・イン・コリア2』単純な善悪では割り切れない男達の戦い ヒョンビンvsチョン・ウソンvsウ・ドファンが火花を散らす重厚な政治ノワールの傑作

メイド・イン・コリア

©︎2025 Disney and its related entities

Disney+の韓国ドラマ『メイド・イン・コリア』シーズン2は、シーズン1から9年後の1979年を舞台に、より大きな権力をめぐる政治ノワールへと進化した。

物語の中心にいるのは、中央情報部の実力者に上り詰めたペク・ギテだ。ヒョンビンは、権力を手にした男の余裕と、その座を奪われるかもしれない焦りを静かな演技で表現する。感情を激しく爆発させるのではなく、視線や沈黙、わずかな表情の変化で相手を威圧する。その立ち姿だけで場の空気を支配し、冷酷な野心家でありながら目を離せない人物を作り上げた。

そんなギテの前に、9年の歳月を経たチャン・ゴニョンが再び現れる。チョン・ウソンが演じるゴニョンは、シーズン1のように正義感だけで突き進む検事ではない。敗北と屈辱を味わったことで、以前よりも冷静かつ執念深くなり、ギテを倒すためなら危険な駆け引きにも足を踏み入れる。正義と復讐の境界が曖昧になったことで、2人の対決は単純な善悪では割り切れない緊張感を帯びていく。

そこへ加わるのが、ウ・ドファン演じるギテの弟ペク・ギヒョンだ。兄を慕っていた若者は、自らの信念と野心を持つ軍人へと変貌。兄弟としての情を残しながらも、権力の頂点を目指す過程でギテと異なる道を選ぶ。ヒョンビンの抑制された威圧感、チョン・ウソンの執念、ウ・ドファンの鋭く張り詰めた存在感がぶつかり合い、3人が同じ画面にいなくても互いの動きを強く意識させる構図が生まれている。

メイド・イン・コリア

©︎2025 Disney and its related entities

シーズン1がギテの野望とゴニョンの追跡を軸にした犯罪ノワールだったのに対し、シーズン2では中央情報部、保安司令部、検察、政界、裏社会の思惑が複雑に交差する。一人の男を追い詰める物語から、国家権力そのものを奪い合う政治劇へと舞台が広がった。ウ・ミンホ監督も、シーズン1を「子どもたちの争い」、シーズン2を「大人たちの戦い」と表現している。

その言葉どおり、今回は誰か一人を倒せば決着する構造ではない。ある人物が失脚しても、空いた席を別の人物が狙う。協力関係も忠誠心ではなく利害によって結ばれているため、状況が変われば味方が敵になり、敵が一時的な協力者になる。一つの決断が別の組織を動かし、登場人物たちをさらに大きな権力闘争へ巻き込んでいく。

史実とフィクションを接続する構成も巧みだ。物語は1979年の10・26事件から12・12軍事反乱へと向かう激動の時代を背景に、実在の出来事や人物を想起させる要素を随所に配置している。そこへ架空のペク・ギテたちを入り込ませ、歴史の表面には残されていない場所で、別の欲望と駆け引きが動いていたかのように描く。

特に序盤では、大統領暗殺直後の混乱と権力の空白をギテが利用し、自らの地位を高めていく。史実をそのまま再現するのではなく、現実の歴史にフィクションの人物関係と権力構造を重ねることで、出来事の裏側をのぞいているような感覚を作り出した。韓国では、史実と創作の境界を巧みに行き来する展開に評価が集まる一方、結末が知られている歴史をどう料理するのかという議論も起きた。

映像と美術も、この重厚な物語を支える大きな要素になっている。暗い執務室、長い廊下、煙が漂う密談の場、整然と並んだ軍人たち。1970年代末の空気を再現したセットと衣装に陰影の濃い照明を組み合わせ、権力の中心に近づくほど閉塞感が強まる世界を構築した。

メイド・イン・コリア

©︎2025 Disney and its related entities

会議室で交わされる会話にもアクション場面のような圧力がある。人物が座る位置、相手を見る角度、言葉を発するまでの間によって、その場で誰が優位に立っているのかを伝える演出も印象的だ。映画『インサイダーズ/内部者たち』『KCIA 南山の部長たち』『ハルビン』を手がけてきたウ・ミンホ監督らしい、男たちの欲望や裏切りを重厚な画面で見せる作風が、シリーズ作品でも存分に生かされている。

ヒョンビン、チョン・ウソン、ウ・ドファンによる緊迫した演技、シーズン1から拡大した政治と権力の争い、史実の隙間にフィクションを入り込ませる構成、映画級の映像と美術。『メイド・イン・コリア2』は、ペク・ギテとチャン・ゴニョンの対決を引き継ぎながら、1979年の国家そのものを巨大な権力闘争の舞台へと変えている。

 

WHAT TO READ NEXT