SPORTS2026.06.20

現在のメッシは守備でも、個の打開でも“万能ではない” それでも起用され続ける理由

メッシ

写真:新華社/アフロ

「メッシは守備をしない」これは印象論ではなく、試合を見れば確認できる事実だ。

FIFAワールドカップ2026グループJ第1節。王者アルゼンチンはアルジェリアとの初戦を迎えた。

カタール大会から4年。大会期間中に39歳を迎えるメッシは、もともと与えられていた守備免除に加え、フィジカル面の変化も無視できなくなっている。

この試合でもその傾向は明確だった。デュエルは8回中3回の勝利にとどまり、球際で後手に回る場面が散見される。結果として相手に前進を許し、カウンターの起点になりかねないシーンもあった。

攻撃面でも、かつてのような圧倒的なドリブルは減っている。長距離のキャリーや強引な突破、スピードで剥がし切るプレーは、全盛期と比べれば明らかに頻度が落ちた。

守備でも、個の打開でも“万能ではない”。それが現在のメッシである。

それでも、彼はピッチに立ち続ける。

理由は個人能力だけではない。チーム全体の構造が、それを可能にしている。

アルゼンチンは、メッシが担わない守備の役割をチームで補う。前線の選手も例外なく帰陣し、中盤はスライドを繰り返し、最終ラインはコンパクトさを維持する。

本来であれば得点に専念するはずの選手たちも守備に奔走する。いわば、メッシを機能させるための前提条件がピッチ上に敷かれている。

この構造は、端的に言えば「メッシ親衛隊」と表現できる。

1人分の負担を10人で引き受ける。その前提があるからこそ、彼は前線に残り、決定的な局面に集中することができる。

そして――結果だけは、今も変わらない。

17分、ロドリゴ・デ・パウルのスルーパスを受けると、短く運んで左足を振り抜く。放たれたシュートはDFの間を抜け、ゴール右隅へ突き刺さる。時速109.4キロの一撃だった。

60分には、アレクシス・マクアリスタのミドルシュートのこぼれ球にいち早く反応。GKの体勢を見極め、冷静に右隅へ流し込む。

さらに76分、中央からボールを運び、ニコ・ゴンサレスとの連携でボックス付近へ侵入。リターンを受けて左足を振り抜くと、4人の間を通したシュートがゴール左隅に吸い込まれた。

この日のメッシは、「関与の量」ではなく「関与の質」で試合を決定づけた。

プレー関与は多くなくても、ゴール前では決定的な仕事をする。限られたタッチの中で、シュートまでのプロセスを完結させる能力は依然として突出している。

守備面のマイナスは確かに存在する。だが、それを上回る攻撃面でのリターンがある。そのバランスによって、起用の合理性は成立している。

守備をしないこと自体はリスクである。しかし、そのリスクを許容してでもピッチに置く価値がある。

メッシは、そうした条件のもとで成立する選手だ。

そして今もなお、その条件に見合う結果を出し続けている。

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