CULTURE丨2025.12.03
マクドナルドが乗っ取られた? クリスマスの食事をぶっ壊す“破壊系”ホリデーキャンペーン「McDonald’s x The Grinch」
マクドナルドUKが、今年のホリデーシーズンに選んだのは、温かい家族ムードでも、感動の物語でもなく“カオス”だった。今回の主役は、ドクター・スース作品でおなじみの“グリンチ”。毎年ホリデーシーズンを台無しにしようと企む彼が、マクドナルドの“クリスマスの幸せ”を標的にするという、いたずら満載のストーリーだ。
CMはマウント・クランピットにあるグリンチの隠れ家から始まる。彼が望遠鏡で覗く先には、マクドナルドの店内で笑顔あふれる家族たち。楽しそうなホリデームードに、グリンチは思わず顔をしかめる。
「あいつらのクリスマスの食事をぶっ壊してやる…!」そう決意したグリンチはラボコートに身を包み、怪しげな装置と手描きの計画書に囲まれながら破壊作戦を考案。「フライに“キュウリのピクルス風味”をかけてやる!」「左右バラバラの靴下で混乱させてやる!」など、妙に細かい嫌がらせを妄想し、ラボ内で踊り狂う姿がコミカルに描かれている。
例年、マクドナルドUKは心温まるストーリーテリングを展開してきたが、今年は“破壊担当”グリンチに創造的主導権を譲渡。ブランド自らがその“いたずら”に振り回される構図を堂々と打ち出している。新キャンペーン「Christmas Grinched」はラジオからソーシャル、OOH、DOOH、店内演出、アプリ内体験まで、多面的にグリンチによる“乗っ取り”を表現している。キャンペーン全体では、グリンチの手書き風フォント、引っかき傷、落書きが至るところに出現。
メニューは「Grumble Pie」「Mischief McFlurry」など“破壊済み”のビジュアルで登場し、限定「グリンチミール」には左右バラバラの靴下が付くという徹底ぶり。ロンドンのGreat Eastern Streetには、巨大な“実物大靴下編み”OOHが設置され、通行人の撮影を誘発。さらにUberやCitymapperでは地図上にグリンチアイコンが出現し、Snapchatフィルターではユーザー自身がグリンチに変身できるなど、参加型の導線も大胆に仕込まれている。
キャンペーン全体を通して描かれるのは、グリンチのいたずら心とは裏腹に、むしろ周囲に笑顔を生み出してしまうというお決まりの展開。今年のクリスマスは、グリンチ流のカオスとマクドナルドの温かさがミックスされた、新しいクリスマスになりそうだ。









