CULTURE2026.01.26

オスカーの歴史を変えるか? 史上最多16部門ノミネート『罪人たち』はただのホラー映画じゃない

罪人たち

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第98回米アカデミー賞の候補作品が22日に発表され、ライアン・クーグラー監督のバンパイアホラー映画『罪人たち』が、長編映画として史上最多の16部門でノミネートされた。

この結果を受け、映画業界では単なる話題作の躍進にとどまらないジャンル映画の評価軸の変化が議論されている。これまでアカデミーはホラー作品をどこか一段下に見る傾向があった。刺激的な描写や商業作品というレッテルから、栄誉ある主要部門の対象になりにくいというステレオタイプが根強かったからだ。

だが『罪人たち』はその考え方を真正面から覆した。南部アメリカを舞台に双子の兄弟がブルースと共同体を軸にしたナイトクラブ建設に挑むも、ヴァンパイアや人種差別の闇に直面するという物語は、血生臭さと社会的寓意を同時に携える。ホラー的要素を前面に押し出しつつも、人種や文化を絡めた社会派ドラマとしての評価も高く、人種差別や歴史的コンテクストを織り込むことで、これまでの「ホラー映画=エンタメ寄り」という見方を超えてきた。

この16ノミネートはこれまでのホラー映画のポジションを変える象徴的な出来事だ。過去にも『ゲット・アウト』『ブラック・スワン』のようにホラー寄りの作品がアカデミーで注目された例はあったが、ここまで露骨にジャンルとしての“血の匂い”を抱えた作品が主要部門の中心に据えられるのは初めてだろう。

今年のアカデミー賞は3月15日にロサンゼルスで開催予定だ。主要部門での最終結果がどう転ぶか、そしてこのホラー映画の快挙が次の映画祭や授賞式にどんな影響を与えるか。この歴史的な快進撃がどこまで花開くか、映画ファンだけでなく業界全体が注目している。

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