CREATIVE丨2026.03.18
チャーリーXCX、A24のモキュメンタリー映画『The Moment』が話題 映像作家エイダン・ザミリとのクリエイティブの歩み
昨年、ブリットアワードを席巻したチャーリーXCX。ダンス・ミュージックだけでなく、ゴスやロック、ヒップホップなどの要素も併せ持ち、エレクトロ・ポップを再定義する新たなスターだ。中でも2024年に発表した『Brat』は、社会現象にもなった大ヒット・アルバム。作品は彼女の転機となり、一躍世界的スターへと押し上げたが、そのプロモーションやツアーに伴うプレッシャーも半端なかったらしい。
その過酷な経験を元に製作されたのがA24作品『The Moment』。モキュメンタリー形式(ドキュメンタリーテイストのフィクション)の映画で、チャーリーや一部スタッフらは本人が演じる。男性ツアー監督との軋轢や、急速に売れてしまったアーティストの疎外感や孤独が映し出され、フェミニストとして、新時代のスターとしての苦悩を、ダークなユーモアとメタ演出で魅せるという内容のようだ。賛否両論呼んだ「サンダンス国際映画祭」を皮切りに、海外ではすでに公開されており(日本公開は続報を待つ)大きな話題となっている。
その本作を監督したのが、チャーリーと同じく英国出身の映像作家エイダン・ザミリだ。MVやCMなど、チャーリーの映像作品を数多く手掛けてきた盟友のような存在である。チャーリーのアイコンとしてのイメージ構築は、この人物によるところが大きい。エイダン・ザミリとチャーリーXCXのこれまでの作品をいくつか振り返ってみよう。
■チャーリーXCX 「360」
このMVはエイダンの陰影ある作風と、チャーリーの演技やスタッフも巻き込んだ寸劇、シアトリカルなメタ演出の印象を決定づけている。急速にヴァイラルになった“インターネット・ガール”の違和感を冷めたユーモアで描く。
■清涼飲料「Poppi」のスーパーボウル特別CM『Vibes』
「Poppiの栓を開けると異次元ポータルが開いてしまう」という設定で、突如大学の授業にワープしてきてしまったチャーリーとスタッフが繰り広げる寸劇が可笑しい。コント風だが、エイダンとチャーリーのどこかサーカスティックなユーモアはぶれない。
■チャーリーXCX 「Guess feat. ビリー・アイリッシュ」
時代を代表するアイコン2人による最強コラボ曲。「今履いてる下着の色を当てたい(guess)?」「あんたは私のなんでも想像して当てたがる」と挑発的にふざけるリリックとビリーとの仲良しぶりが楽しい曲で、2人の化学反応にフォーカスした正攻法的MVだ。ちなみに撮影で使用された大量のパンティやブラは、ホームレスや貧困層の女性などに寄付されたとのこと。
一貫してクールかつ乾いたユーモアが映像から伝わってくるあたり、いかにザミリの作風がチャーリーのイメージ構築に重要かがよく分かる。ザミリにとって『The Moment』は長編監督デビュー作となり、チャーリーは兼ねてから意欲を示していた俳優業への大きな足がかりとなるだろう。2人によるタッグの新章幕開け、ということになりそうだ。
ちなみにチャーリーは、名作小説を原作としたマーゴット・ロビー主演の話題の映画『嵐が丘』(『プロミシング・ヤング・ウーマン』で知られるエメラルド・フェネル監督作)のサントラも手がけており、現在公開中でこちらも要注目の作品だ。









