CREATIVE2026.02.03

「グロすぎる」「宗教を愚弄している」AI広告が炎上も想定内の反応? 米大手フィットネス・クラブの広告が物議

AI生成映像を大々的に利用したCM広告がちょっとした炎上騒ぎを起こしている。思わぬ賛否両論の火種は、米大手フィットネス・クラブの「Equinox Fitness」。現実にはあり得ないAIで生成した映像をいくつも連ねて、最後に<Question Everything But Yourself(全てを疑え、自分自身だけは信じよう)>というキャッチフレーズで締められるCMを公開したのだが…。

概要だけ聞けば、セルフ・エスティーム(自尊心)をブーストさせるメッセージが実にフィットネスらしく好印象を残しそうな内容だが、炎上してしまったのは一体どういうことなのだろうか。

 

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そもそも問題となったのは、本質のメッセージではなくAI映像の内容だった。冒頭の「老女が飼い犬を食べだすと中身がケーキだった」という映像から始まり、続いて「玄関口をうろつく宇宙人」「真っ赤なダウンを着た法皇」「乳房が3つあるビキニ女性」などの映像が続き、最後に“ホンモノの”女性の姿が映し出されるとあのメッセージが目に飛び込んできて終わる、という内容だ。確かにフェイクとわかっていても、驚く映像ではある。

案の定、放映直後から「グロすぎる」「宗教を愚弄している」などの激しい抗議の声が一斉に挙がったのだ。さらに、批判は生理的な嫌悪感だけからではない。AI生成技術の進歩が著しい昨今、あまりの精度の高さのせいで、虚実がわからないままの情報流布や肖像権の問題といった倫理的課題が山積みだ。その最中にこのCMでは、「少なくとも自分自身はホンモノなのだからそっちを信じよう」とAIによるフェイクな映像を批判しながら、結局AIを大々的に使用しているという点でも「矛盾している」として指摘されているのである。

ところが、「炎上マーケティング」や「とにかくバズれば良い」という考えもまた、AI同様ごく近年当たり前になってきたプロモーション・モデルなので、上記のような批判の正当性を証明するのもまた困難だ。賛否両論起こりそうなAI生成映像を使用してあえてバズらせ、炎上させる狙いがあったとして、現状ではまだ法整備も倫理的な基準も定まっていないのが現状である。
そんな中、「気持ち悪すぎるからやめてほしい」という主張はどこまでも個人の感覚や感想の範疇を出ない。不快に感じる人がいようが、バズったのであればマーケティングとしては大成功、という見方ができるのだ。

 

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まさにAI黎明期の世相を炙り出すようなCMだったわけである。実際、企業広報はこのリアクションについて「想定内であり成功である」と主張しており、それは強がりでもなくただの本音だろう。

そんな一連のプロモーションの中、文字だけのInstagramの宣伝投稿があった。
「2026年、真実はもはや“うつろう的(まと)”である。顔にはフィルターがかかり、政治家は皆ディープフェイクだ。こうしてあなたのフィードにはAIによる虚像が氾濫する。何もかも偽ることのできるこの世界の中で、たった一つだけ、絶対に偽れないものがある。それはあなたの肉体だ。あなたの強さだ。あなた自身だ。偽物だらけの世界で、あなたの活力は、真実を取り戻すための反撃となる。目に映るもの全てが信じられなくなった時に、できることはたった一つだけ。“Question Everything But Yourself”目に映る全てを疑っても、自分自身を信じること、なのだ」と文字だけのメッセージが。

むしろこれだけでよかったのでは、とは思うが… 難しい世界である。

 

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