MOVIE丨2026.02.04
ネット民のコメントを観察… 『ブゴニア』J.プレモンスが危険な“陰謀論者”を演じるために行ったアプローチ
2月13日(金)より公開予定、鬼才ヨルゴス・ランティモス監督新作『ブゴニア』。2003年韓国発のカルト的人気のSFコメディ映画『地球を守れ!』をリメイクしたもので、プロデューサーに『ヘレディタリー/継承』、『ミッドサマー』のアリ・アスターが名を連ね、ランティモス作品常連のエマ・ストーンが主演を務めるなど、今作も注目を集めること必至の作品だ。
すでに話題盛りだくさんの作品だが、ここでもう1人の主役とも言える“テディ”を演じるジェシー・プレモンスにも注目したい。彼は、大ヒットドラマシリーズ『ブレイキング・バッド』、P.T.アンダーソン監督作『ザ・マスター』などに出演する、名脇役的存在だ。『シビル・ウォー アメリカ最後の日』の赤いサングラス姿の兵士と言えば分かる人も多いだろう。

©2025 FOCUS FEATURES LLC.
テディは、若い頃からさまざまな不遇に苦しんできた陰謀論者の男性。自分の不幸と世界がおかしい理由は、地球を侵略しようと企む宇宙人たちのせいだと頑なに信じており、カリスマ的経営者であるミシェル(ストーン)が宇宙人の1人であるとして拉致監禁してしまう。客観的な視座からの根拠や、論拠の精査もできない。まさに陰謀論的思考の人物なのだが、その分、純粋である。そんなテディを演じるため、ジェシーはあらゆる掲示板を巡回したらしい。そこで市井の人々が繰り広げる論争を見つめながら役作りをしたのだという。

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「人々の思考の仕方を理解するために、『Reddit』『YouTube』のコメント欄、あと当時盛り上がってた『4chan』なんかも見にいってた」と、言う。しかしテディという人物は、典型的な陰謀論者に見えて実際には独自の理由と目的があるという複雑なキャラクターだったため、「ある時点からは、そういった掲示板の住人たちだけでは参考にならないと思い始めて」さらに深くキャラを掘り下げることにしたのだそう。
「あとよくわかったのが、暗殺やテロなど何かしら起こったときに、人々がいかにすぐ自分と反対側の人間を犯人にしたがるか、ということでしたね」と観察しながらも、「でも多くの場合、実際の犯人の実態がわかると、例えば“犯人は反ファシズムで、共和党支持で、銃愛好家で、ノンバイナリーを自認している人物でした”なんていう、結局どっち側でも、どこのカテゴリーでもない個人像が浮かび上がってくるんですよね」と続けた。例え陰謀論者であっても、個人とは、誰もが単純にはカテゴライズできない固有の物語を生きているのだ、ということにあらためて思い至ったのだという。
これまでバイプレイヤーとしての役所が多く、認知度では知る人ぞ知る存在だったが、今作での演技でトップ俳優たちと肩を並べることになるだろう。現代批評に満ちたコメディ・サスペンスの本作、ジェシー・プレモンスの演技にもぜひ注目である。

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