CULTURE2026.03.30

ケンドリック・ラマーとドレイクの対立は「起きるべきではなかった」 Jay-Z、現代ラップシーンのビーフに警鐘

Kendrick Lamar

Jay-Zが、現代のラップシーンにおけるビーフのあり方に疑問を投げかけた。GQのインタビューで語られたのはケンドリック・ラマーとドレイクによる2024年の対立が、カルチャーの転換点になったという認識だ。

これまで数々のビーフを経験してきたJay-Zにとっても、その状況は看過できないものだった。自身とNasの対立が長らくヒップホップ史上最大のビーフとされてきたが、現在ではケンドリックとドレイクの衝突がそれを上回る規模へと膨れ上がったと見ている。ただ、その余波は極めて“有害”なものになっているという。議論はファン同士の対立に支配され、客観性は失われ、まともに語ることすら困難な状況に陥っていると指摘する。

GQのインタビューの中で、Jay-Zはこの現象について率直に言及した。ケンドリックとドレイクの対立は、もはや健全な競争ではなく、文化のバランスを崩すものになっていると感じているという。「今の時代、そこにはあまりにも多くのネガティブなものが付随してくる。むしろ起きなければよかったと思ってしまうほどだ。まるで決定的な断絶のようなものになっている」さらに彼は、「ここまで進化してきた今、正直に言えば、バトルがカルチャーの一部であり続ける必要があるのか分からない」と語り、ラップバトルそのものの意義にまで踏み込んだ。

SNSの影響もあり、こうした対立はかつて以上に拡散され、増幅される構造にある。かつてのビーフが作品やスキルを通じた競争だったのに対し、現在はファンダム同士の対立へと変質している側面が強い。なお、ケンドリックとドレイクはいずれも依然としてシーンの頂点に位置しており、次なる大規模ビーフがいつ、生まれるのかは不透明なままだ。そうした中でのJay-Zの発言は、今後のヒップホップにおける価値観をめぐる議論に波紋を広げることになりそうだ。