SPORTS2025.09.03

アンチは試合見てない? 大谷翔平に粘着する“勝負弱い説”は間違いだった「打って当たり前がツラい」「勝負されないシーンも多い」

大谷翔平

写真:AP/アフロ

今季134試合に出場、143安打で打率.276、45本塁打、85打点(9月2日時点)と、申し分のない好成績を挙げているロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平。しかし、その得点圏打率に目を向けると、今ひとつ寂しい数字となっていることから、“アンチ大谷”派からは、大谷の勝負弱さがしばしば話題となりがちだ。しかし大谷は本当に“勝負弱い”といえるのだろうか。

得点圏打率と呼ばれるものは、得点圏、即ち二塁または三塁、あるいはその両方に走者を置いた場面で打席に立った際の打率を示しているが、.241と聞くと、たしかに“勝負弱い”と思われがちだ。しかしながら大谷は打点を85も叩き出している。137試合消化時点で、ドジャース全体の総得点はちょうど700。このうちの85点が大谷一人で叩き出したと考えれば、決して“勝負弱い”とは言えないだろうし、大谷の場合は得点も124マークしている。つまり、85+124=209、ドジャースが稼いだ700点のうち209点が“大谷絡み”であることを思えば、いかに大谷頼みのチームであるかという部分が見てとれる。また、セイバーメトリクスの指標の1つであるWPA(Win Probability Added)は、選手の勝利貢献度を示すものだが、今季の大谷は4.94。フレディ・フリーマンが4.7、ライバルと目されるニューヨーク・ヤンキースのアーロン・ジャッジに至っては4.34と、大谷に大きく水をあけられている。このWPA4.94という数字、たとえば大差のついた試合でホームランを何本打とうが簡単にはあがらず、決勝打のように、チームの勝利に直結する一打に高い評価が下されることから、いわゆる“主砲”タイプの打者でもそう出せるものではなく、MLB全体で大谷がぶっちぎりの1位。この事実を無視し、得点圏打率だけで「大谷が勝負弱い」とするのは、短絡的であると言わざるを得ない。

こうしたアンチの的外れな批判に関係なく、黙々と自らの役割を果たし、着々と数字を伸ばす大谷に、SNS上の野球ファンからは「アンチは試合見てないだろ」「アンチは本気で言ってるのかね?」「数字のマジックで勝負弱く見えるだけなんだよなw」「最強のリードオフマンだぞ」「勝負されないシーンも多いしな」「勝負弱いどころか大谷さん頼みだろw」「ドジャースは監督で負けてるから」「打って当たり前がツラい」といった様々な反響が巻き起こることに。

今季の大谷は1番・DHでの先発出場が基本となっているが、多くの人々が知るように、ドジャースは極端に下位打線が弱く、そもそも大谷の前に走者が得点圏まで進んでいるという状況そのものが発生しづらいため、得点圏打率が伸びにくいのも当然のこと。にもかかわらず、85打点もあげているのは、“大谷の一振り”すなわち、長打で一塁走者を返しているからにほかならない。大谷は“勝負弱い”どこから、価値ある一振りでチームを勝利に導いていることは、何よりも数字が物語っているのである。

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