REVIEWS2025.05.14

やり過ぎなくらい派手な暴力描写! 無数の人間が蜂の巣になり、血を撒き散らす 『ハボック』はここ数年のNetflixオリジナルの中では屈指のアクション映画

ハボック

Netflix

映画は、その背景や制作陣の名前だけで、つい期待してしまうことがある。『ザ・レイド』シリーズで知られるギャレス・エヴァンス監督と、主演のトム・ハーディという組み合わせを見れば、それも無理はないだろう。

『ハボック』は2021年に撮影されたNetflixオリジナル作品で、しばらくの間公開されないままだった。その事実だけで少し不安に感じる人もいるかもしれない。ただ、完成した作品は予想よりもずっと見応えがあり、特にアクションシーンにおいてはエヴァンス監督らしさが随所に表れている。

物語の主人公は、トム・ハーディ演じる殺人課の悪徳刑事ウォーカー。過去の過ちに苦しみながらも、犯罪と腐敗にまみれた街で任務を続けている。ある日、麻薬取引の失敗をきっかけに中国マフィア「三合会」のボスの息子・ツイが死亡。現場に居合わせた青年チャーリーが犯人として逮捕されるが、彼は議員を目指す実業家ローレンス・ボーモントの息子でもあった。事件をきっかけに、警察内部の腐敗や、ローレンスと警察との関係も明らかになっていく。ウォーカーは、自分の罪を清算するために、チャーリーを無事に逃がそうと動き出す。しかし、ツイの母親をはじめとした中国マフィアの面々が復讐に乗り出し、街全体が敵になるようなカオスな展開に巻き込まれていく。

ストーリー展開そのものは、特に新しさがあるわけではない。ハーディの演技も、過去の作品と似たような印象を受ける場面がある。ただ、それでも本作が最後まで観る価値のある作品に仕上がっているのは、やはりアクションの力が大きい。

ハボック

Netflix

『ザ・レイド』シリーズで観る者の度肝を抜いたエヴァンス監督らしく、今回もやり過ぎなくらい派手な暴力描写とアクションシーンが満載だ。室内でも屋外でも銃撃戦は延々と続く。自動小銃によって無数の人間が蜂の巣にされ、血を撒き散らす。作品全体でほぼ銃弾が鳴り響いていると言っても過言ではない。カメラは巧みに激しく動き、緊張感のある場面の連続。監督のスタイルが強く反映された作品として成立している。

アクションは最高、しかしストーリーは薄め『ハボック』はまさにそんな作品だ。しかし、そもそもそれ以外を期待してた人なんているのだろうか?『ザ・レイド』も、キャラクターの深掘りや物語の厚みで語られる作品ではない。この作品を見るなら、再生ボタンを押して、あとはひたすらカオスを楽しめばいい。『ハボック』はここ数年のNetflixオリジナルの中では屈指のアクション映画であるということは言える。

『ハボック』はNetflixで配信中

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