MOVIE2025.06.17

その絆は、やがて狂気へ変わる… 世界が注目する新鋭アリアン・ラベドの鮮烈な長編デビュー作『九月と七月の姉妹』

九月と七月の姉妹

© Sackville Film and Television Productions Limited / MFP GmbH / CryBaby Limited, British Broadcasting Corporation, ZDF/arte 2024

フランス人俳優として世界的に活躍するアリアン・ラベドがメガホンをとった長編デビュー作『九月と七月の姉妹』が、9月5日(金)より公開される。

本作は、史上最年少のマン・ブッカー賞候補となった作家デイジー・ジョンソンによる「九月と七月の姉妹(原題:Sisters)」に着想を得て制作、2024年「カンヌ国際映画祭」でのプレミア上映以降も各国映画祭で賞賛を集めた。

生まれたのはわずか10か月違い、いつも一心同体のセプテンバーとジュライ。我の強い姉は妹を支配し、内気な妹はそれを受け入れ、互いのほかに誰も必要としないほど強い絆で結ばれている。しかし、二人が通うオックスフォードの学校でのいじめをきっかけに、シングルマザーのシーラと共にアイルランドのノース・ヨーク・ムーアズの海辺近くにある長年放置された一族の家<セトルハウス>へと引っ越すことになる。新しい生活のなかで、セプテンバーとの関係が不可解なかたちで変化していることに気づきはじめるジュライ。「セプテンバーは言う——」ただの戯れだったはずの命令ゲームは緊張を増していき、外界と隔絶された家の中には不穏な気配が満ちていく……。

九月と七月の姉妹

© Sackville Film and Television Productions Limited / MFP GmbH / CryBaby Limited, British Broadcasting Corporation, ZDF/arte 2024

監督は、公私に渡るパートナーであるヨルゴス・ランティモスを中心として生まれた映画ムーブメント<ギリシャの奇妙な波(Greek Weird Wave)>を継ぐ作風で脚光を浴びた、アリアン・ラベド監督。2010年、ヨルゴス・ランティモス監督が制作・出演した『アッテンバーグ』(アティナ・ラヘル・ツァンガリ監督)で映画デビューを果たし、「ヴェネツィア映画祭」と「アンジェ・プルミエ・プラン映画祭」の最優秀女優賞を受賞。本作でヨルゴス・ランティモスと出会い、2013年に結婚、その後『ロブスター』(2015)にも出演している。2014年には、『欲望の航路』でロカルノ映画祭最優秀女優賞を受賞、セザール賞新人女優賞にもノミネートされた。

10ヶ月違いで生まれた一心同体の姉妹・セプテンバーとジュライを演じたのは“カンヌの新星”として演技を高く評価されたパスカル・カンとミア・サリア。また、『関心領域』でアカデミー賞音響賞に輝いたジョニー・バーンによるサウンドデザインが物語を不穏な予兆で充たしていく。

一体どこからどこまでが自分なのか——互いの境目がわからないほど絡み合った姉妹の絆は、やがて醒めることのない悪夢へと姿を変える。

九月と七月の姉妹

© Sackville Film and Television Productions Limited / MFP GmbH / CryBaby Limited, British Broadcasting Corporation, ZDF/arte 2024

九月と七月の姉妹

© Sackville Film and Television Productions Limited / MFP GmbH / CryBaby Limited, British Broadcasting Corporation, ZDF/arte 2024

『九月と七月の姉妹』は9月5日(金)より全国ロードショー

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