MOVIE2026.09.10

酒を飲み、毒を吐く… 反抗的で型破り“パンクロックな傷だらけの新DCヒーロー”が誕生 『スーパーガール』

スーパーガール

© & TM DC © 2026 WBEI

2026年、DCユニバースの新たなヒロインとしてスクリーンに降り立った『スーパーガール』。クレイグ・ギレスピー監督が手がけた本作で何より鮮烈なのが、ミリー・オールコック演じるカーラ・ゾー=エルだ。

これまでのスーパーヒーロー像とは一線を画す、荒々しく自由奔放な“パンクロックなスーパーガール”。本作のカーラは、明るく希望に満ちたデヴィッド・コレンスウェット版スーパーマンとは対照的な存在だ。

故郷クリプトンを失った記憶を抱えながら宇宙をさまよい、酒を飲み、皮肉を飛ばし、ヒーローらしく振る舞うことにも興味を示さない。完璧な正義の味方ではなく、傷つき、荒れながらも自分なりの方法で生きている。

そんなカーラをオールコックは、単なる反抗的なキャラクターにはしていない。

投げやりな態度や毒のあるユーモアの奥には、故郷を失った悲しみや孤独が隠されている。普段の気だるそうな姿から、いざ戦いとなれば圧倒的な力を解放するスーパーガールへ。その振り幅を自然に成立させ、ならず者のようなエネルギーとヒーローとしての存在感を同時に見せている。

特に本作で効いているのが、“パンクロック”という方向性だ。酒を飲み、反抗的な態度を取り、荒廃した惑星を渡り歩くカーラ。ロックを使った音楽演出や個性的な異星人たち、宇宙を股にかけたロードムービーのような展開も重なり、これまでのDC作品とは違ったスーパーガールの世界が作られている。

正義感にあふれたヒーローが悪を倒すという王道ではなく、傷を抱えた主人公が宇宙をさまよいながら、自分が何者なのかを見つめ直していく。その少し危うく、乱暴で、それでもどこか放っておけないカーラのキャラクターと、オールコックの持つエネルギーがうまく噛み合っている。

スーパーガール

© & TM DC © 2026 WBEI

宇宙を舞台にした冒険映画としての楽しさも本作の特徴だ。荒廃した惑星、奇妙な異星人、ロックを中心とした音楽、そしてカーラの皮肉交じりのユーモア。スーパーヒーロー映画でありながら、宇宙を駆け回るロードムービーのような軽快さを持たせたことで、スーパーマンとはまったく違う方向から新DCUの世界を広げている。

物語の核になるのが、家族を奪われ復讐を求める少女ルーシーとの関係だ。カーラ自身も故郷を失った過去を抱えているからこそ、彼女の怒りや悲しみを理解できる。自分も傷ついたまま生きながら、同じように傷ついた少女と旅をする。その関係を通じて、荒っぽいカーラの内側に残っている優しさが少しずつ浮かび上がってくる。

復讐によって痛みが消えるわけではない。そのことを誰より知っているのがカーラ自身だ。普段はヒーローらしく振る舞わず、むしろヒーローという立場から逃げようとしている。それでも、本当に誰かが助けを必要としている瞬間には見捨てることができない。この矛盾こそが、本作のスーパーガールを魅力的なキャラクターにしている。

そして、その複雑さを成立させているのがオールコックだ。表情や立ち振る舞いには常に少し気だるさがあり、カーラが抱えている孤独を説明的なセリフに頼らず感じさせる。一方でスーパーガールとして力を解放した瞬間には一気に空気が変わる。荒々しさ、ユーモア、脆さ、圧倒的な強さ。そのすべてがひとりのキャラクターの中に収まっている。

何より面白いのは、スーパーマンと同じクリプトン人でありながら、カーラがまったく別のヒーローとして成立していることだ。希望を象徴するスーパーマンに対し、カーラは世界の残酷さを知っている。それでも誰かを救うことを完全には諦められない。優等生ではない。模範的でもない。酒を飲み、毒を吐き、時には自暴自棄になる。それでも最後には誰かのために立ち上がる。

そんな“パンクロックなスーパーガール”という大胆な方向性とミリー・オールコックのキャスティングが噛み合ったことで、新DCUにスーパーマンとはまったく異なるもうひとりのクリプトン人ヒーローが誕生した。

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