CULTURE2025.12.19

『ウェンズデー』ジェナ・オルテガ、映画界におけるAIの危険性は「精神的なジャンクフード」

ウェンズデー S2

Netflixシリーズ『ウェンズデー』

Netflixの超人気シリーズ『ウェンズデー』に主演、今最も注目を集める若手俳優の一人、ジェナ・オルテガが、映画界におけるAIの危険性について言及した。

彼女は、アカデミー賞受賞監督ポン・ジュノ、俳優アナ・テイラー・ジョイらと並んでマラケシュ国際映画祭に審査員として登壇。その記者会見で、AI映像の未来について記者から聞かれると「私たち人類は、何かとついやり過ぎてしまう」と前置きし、AI生成技術について「まるでパンドラの箱を開けてしまったかのようで、次に何が起こるか見当もつきません。恐れを抱くのも無理はないと思います」と語った。

続けて生身の俳優について「困難や、誤ちや、失敗に美しさは宿るものです。それこそ、魂のないコンピューターには決してできないことなのではないでしょうか」と、人間の不完全さゆえの美しさを強調した。

プロデューサーとしても活躍するジェナ・オルテガだけに、映像の未来について思うところもあるのだろう。「軍隊を率いて一掃したい」と笑いながら語ったポン・ジュノをはじめ、多くの監督やプロデューサーがAI技術を危険視、忌み嫌う発言を続ける中、オルテガはさらに「大スクリーンで大量に見せられるせいで、気がついたら気分が悪くなっていた、みたいな。AI生成映像が、そんな精神的ジャンクフードみたいな存在だと認識される時代が早く来てほしい、と私は願っています。あまり良い言い方ではありませんが、時に観衆は、何かを失うことで事の大切さに気づくことがあると思うのです」。この締めの言葉は聴衆に刺さったようで、映画祭を通じて“最も印象的なフレーズ”として話題になった。

プロンプト一つで、本物と見紛うような映像が生成されてしまう時代に、揺らぐ人間の価値。危ぶむと共に、生身の役者の可能性についても希望的に語る弱冠23歳のオルテガの、ブレない表情は頼もしい。

『ウェンズデー』はNetflixにて独占配信中

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