REVIEWS丨2025.01.04
箱の中にはパルトロウの頭部の模型が入っていたのか? トラウマスリラー『セブン』衝撃の“ラストシーンの謎”
「第81回アカデミー賞」で、作品賞を含む13部門にノミネートされ、美術賞・視覚効果賞・メイクアップ賞を受賞した『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』。「第83回アカデミー賞」で、作品賞・監督賞・主演男優賞を含む8部門にノミネートされ、脚色賞・作曲賞・編集賞の3部門を受賞した『ソーシャル・ネットワーク』。そして、『ファイト・クラブ』『ドラゴン・タトゥーの女』『ゴーン・ガール』など、独創的なビジュアル表現と観る者の先読みを許さない力強いストーリーテリングで、世界中の映画ファンを熱狂させ続ける監督デヴィッド・フィンチャー。
この稀代の監督の名を一躍世界中に知らしめた衝撃のノンストップ・サスペンス・エンターテイメント『セブン』が、2025年1月31日(金)より期間限定で初のIMAX上映が決定した。1995年の全米公開30周年を記念し、デヴィッド・フィンチャー監督自ら監修し、当時のオリジナルのネガから4K修復が行われた特別版でのIMAX公開となる。
デヴィッド・フィンチャー監督が、ハリウッドを独走し続けるトップ俳優ブラッド・ピットを主演に迎えて仕掛けた映画『セブン』は、ソーシャルメディアがまったく普及していない公開当時に、中毒性とゲーム性を兼ね備えた超・問題作として、口コミが世界中で大バズり。全米4週連続で興行ランキングNo.1を獲得し、興行収入153億円($100,125,643)を突破。日本でも興行収入57.8億円($37,787,580)を記録し、世界興行収入は500億円($327,333,559)を超え、空前の大ヒットを遂げている。(※Box Office Mojo調べ/1ドル=153円換算)
いまだに熱狂的なファンを増やし続けているその最大の魅力は、クライマックスに向けて加速する息つく間もない怒涛の7日間の展開と、想像を絶する驚愕のラストシーンだ。「全てが終われば、その結末は人には理解されにくいだろうが、認めざるを得なくなる」——劇中のあるシーンの台詞の通り、観た者たちに一生忘れないほどの《劇薬トラウマ体験》を植え付け、当時の体験は全米公開から30年たった今でもまったく色あせることが無い。
賛否両論あるラストシーンであることから、映画会社によって別案も公開前に検討されていた。しかしフィンチャー監督は、現行のラストシーンを頑なにこだわったという逸話もあるほどだ。そして、この衝撃的なラストシーンによって長年ファンの間で繰り返されてきた「箱の正体」が再び注目を集めている。
物語のクライマックスでは、ケヴィン・スペイシー演じる殺人犯ジョン・ドウが、ブラッド・ピット演じる刑事ミルズを残酷な罠にかける。乾いた砂漠で見つけた箱の中には、ミルズの妻トレーシー(グウィネス・パルトロウ)の首が入っていたのだった。このシーンは視覚的には直接的に描かれてないが、その衝撃的な展開は観客に強烈な印象を与えた。しかし、これにより「本当に箱の中にパルトロウの頭部の模型が入っていたのか?」という疑問が長年にわたり議論されることとなる。
Entertainment Weeklyのインタビューの中で、フィンチャー監督は箱の中身についての噂を否定した。「それはまったくのナンセンスです。我々は7〜8ポンド(約3〜4キログラム)の重りを箱に入れました。グウィネス・パルトロウの体重指数(BMI)を計算し、頭部がその何割に相当するかを調べました。それに基づいて箱の中身の重量を決定しました。」とコメント。そして、箱の中にはウィッグ(かつら)も入っていたという。「箱を開けたとき、テープが剥がれた際に髪の毛が少し飛び出すように、ウィッグに少量の血をつけておきました。その結果、髪が一部固まる効果がありました。」
このモーガン・フリーマン演じる刑事サマセットが箱を開けるシーンの撮影では、16〜17回ものテイクが行われたという。また、フィンチャー監督は、「箱の中身を観客に見せる必要はない」と強調。「モーガン・フリーマンの演技があれば、箱の中身を見せる必要はありません。」この演出により、観客の想像力を最大限に働かせ、衝撃的なシーンをより効果的に演出したのだった。
『セブン』は2025年1月31日(金)より期間限定IMAX初上映