REVIEWS丨2025.04.06
『イカゲーム』シーズン2、フロントマンは混乱していた? ジフンへの本心と殺害シーンの矛盾

Netflix『イカゲーム』
『イカゲーム』シーズン2では、フロントマン役のイ・ビョンホンが最終シーズンに向けキャラクターの内面的な葛藤について語っている。
フロントマンことインホは、もともと2015年のゲームの勝者だったが、妻を肝硬変で亡くしたことをきっかけに人間性への信頼を失い、監視役へと変貌した。冷酷な彼の姿の裏には複雑な感情が渦巻いている。
シーズン2では、インホが再びゲームに関与し、ジフン(イ・ジョンジェ)の計画を阻止するために動く展開が描かれる。その中でも最も衝撃的なシーンが、インホがプレイヤー001に変装し、ジフンの親友であるチョンベ(イ・ソファン)を殺害する場面だ。
NetflixのTudumとのインタビューで、イ・ビョンホンはフロントマンがチョンベを殺害する決断に至るまでの葛藤について明かしている。彼は「フロントマンはおそらく混乱していたはずです。彼の中にはジフンを応援したい気持ちが少なからずあったと思います」と語っている。しかし最終的にはゲームを維持するため、チョンベの命を奪う選択をしたと説明。「フロントマンの最大の目的は、ジフンにゲームの本質を理解させることでした。彼自身も間違いを犯していることを知りながら、極端な手段を取るしかなかったのです」とイ・ビョンホンは語る。
チョンベ殺害シーンは、ゲームの支配構造と人間性の対立を象徴している。ジフンが友人を守ろうとする姿勢と、フロントマンがゲームのルールを守るために冷酷な行動を取る姿は、まさにシリーズが描く「人間性」と「システム」の対立を際立たせている。
最終的には再びマスクをつけて冷酷な役割に戻るフロントマンの行動は、ゲームの秩序を維持するためのものだったが、同時にジフンを救いたいという矛盾した感情も見え隠れしていた。この複雑さがキャラクターに新たな魅力を加え、単なる悪役以上の存在へと進化させた。インホの内面的葛藤は、フロントマンをより立体的なキャラクターへと押し上げ、『イカゲーム』の物語にさらなる深みを与えている。
『イカゲーム』シーズン1、2はNetflixにて独占配信中・シーズン3は6月27日(金)より配信開始