REVIEWS2024.12.26

刑務所で殺人、遺体を木に吊るす、大統領を暗殺未遂… 麻薬王パブロ・エスコバルの実録モノ 『ナルコス』閲覧注意シーン

コロンビアの麻薬密売組織<メデジン・カルテル>を創設し、その悪名を世界に轟かせることとなった麻薬王パブロ・エスコバル。その生き様に迫りつつ、彼を捕らえようとするアメリカの麻薬取締局(DEA)から派遣された捜査官スティーブ・マーフィーとの攻防や、周辺で生きる人々との複雑な関係などを描き、大ヒットすることとなったNetflixオリジナルドラマ『ナルコス』。スティーブが表の主人公ならば、パブロは裏の主人公であり、麻薬王の残忍で卑劣な言動が数多く登場する。そこで、パブロという人物がよくわかるヤバすぎるシーンを選出。なお、本作は実話に基づいて描かれている。

・誘拐犯を殺害後、遺体を木に吊るす

有力者マルタ・オチョアが過激派組織によって誘拐されたことに乗じて、パブロが地元の有力者などをかき集めて連携を呼びかけ、「Death to Kidnappers」という組織を設立したことが描かれるシーズン1のエピソード2「シモン・ボリバルの剣」。パブロの野望が本格的に始動した瞬間ともいうべき印象的なエピソードになったが、なかでも目を引いたのはパブロのヤバさ。仲間たちと過激派組織のアジトへ乗り込んだパブロは、組織の面々をフルボッコにした上で、無残に虐殺。その死体を木に吊るすという残虐な仕打ちをお見舞いする。これら一連のシーンは、前述の「Death to Kidnappers」結成時に彼が見せた態度と相まって、そのヤバすぎる人間性を印象づけることになった。

・象徴的なマグショットと買収劇

記念すべきシーズン1のエピソード1「奈落の底へ」から。この時点で既に麻薬の密輸を手がけるようになっていたパブロであったが、ひょんなことから仲間の裏切りで逮捕されてしまう。その逮捕時に撮影されたのがファンにはおなじみの、あの有名なマグショットになるわけなのだが、その後に彼が辿る運命を知っていれば、このマグショットがかなり象徴的なものであることがよくわかる。なお、この逮捕時はパブロに負けず劣らずゲスな治安当局の責任者を相手に交渉して、あっさりと買収に成功。

・刑務所で殺人

シーズン1話のエピソード9「クラブ・メデジン」では、政府との取引で条件つきで刑務所に入り、優雅な生活を送りつつ塀の中から組織を指揮していたパブロ。しかし、順風満帆な人生に思えたのもつかの間、商売仲間のガレアーノとモンカダの土地からパブロの金が見つかったという報告が。すると、それを聞いたパブロは瞬く間に逆上。わざわざ刑務所内に彼らを呼びつけて、相次いで惨殺。しかもその際には、別の部下にやらせるだけでは飽き足らず、自ら棒をフルスイングして大量の返り血を浴びることに。カッとしやすい凶暴な一面が印象付けられた一幕であった。

・金か、銃弾か

再びシーズン1のエピソード1「奈落の底へ」から。手下の運転するトラックで密輸をしている際に、治安当局の隊員たちに囲まれたパブロ。積荷を検査した上で逮捕しようとする彼らに対し、「取引をしよう。どちらか選ぶんだ。金か、銃弾か」と、恫喝じみた物言いで買収を持ちかける。この時点でまだ若いパブロは、<メデジン・カルテル>の指導者になってはいなかったが、それでもこの豪腕ぶり。彼のビジネスが犯罪である以上、ほめられたものではないが、その手腕はまさに敵ながら天晴れといったところだ。貧困層の出身でありながら、若くして富を手にしただけのことはあると、妙に関心させられてしまう。

・大統領暗殺のために航空機を爆破

シーズン1のエピソード6「名うての爆弾技師」から。パブロは飛行機爆破を計画するのだが、その際に実行犯に仕立て上げられたのは事情もよくわかっていない新米の青年。当の本人は自分の持たされたスーツケースの中に、破壊力満点の爆弾が仕込まれているなどと思うはずもなく、周囲も一切警戒しないという状況。しかし、結局はターゲットである大統領が飛行機に乗らなかったため、暗殺そのものが失敗に終わった。しかし、巻き添えで何の罪もない無関係な乗客乗員たちだけが命を落とすことになってしまうという、あまりに酷な話である。

パブロの生き様と彼の日々の言動は、目を覆いたくなるような出来事で埋め尽くされている。しかし、一方では不釣合いなほどの深い家族愛や恋人への想いを抱えている。だからと言って、彼の悪行に対する評価が変わることはないだろうが、貧しい地域に生まれ育ち、身ひとつで世界の麻薬王へとのし上がった背景には、彼ならではの独特な魅力と能力があったように思われる。

『ナルコス』はNetflixにて独占配信中

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