REVIEWS2024.12.26

法で裁けないクズは容赦なく処刑! 復讐屋がいい仕事する“ストレートではない懲悪”リアル復讐系ドラマ『外道の歌』

どんなに悪辣極まりない事件を起こした人間であっても、我が国のような法治国家においては、「法」で定められた範囲でしか、裁くことも、罰を科すこともできない。そのため、日頃、ニュースなどで報じられる判決を聞き、その内容に不満を抱く人も少なくないだろうし、そもそも悪行三昧の日々を送る人間の中には、なぜか逮捕すらされないという者もあることから、こうした“法で裁けない者たち”を心底憎む人も少なくないだろう。

『外道の歌』(DMM TV)は、犯罪者により、大切な肉親などを奪われた人々の依頼で、加害者側を“私刑”に処す稼業「復讐屋」の暗躍を描いたドラマ。妻子をあまりに理不尽な形で惨殺された窪塚演じる鴨ノ目と、母親を無造作に殺された過去をもつ亀梨演じる虎信は、主に被害者遺族からの依頼で、加害者である“クズたち”に制裁を下していくこととなるが、その制裁ぶりやなんとも凄まじい。1話では女性を玩具にして自殺に追い込んだ男に対しては、肛門から熱した鉄の棒を強引にねじ込み、直腸まで損傷させる苦痛を味わせた上で無造作に殺害&死体遺棄。1話以降も奇想天外な“処刑スタイル”を披露してみせる。とにかく被害者感情から考えれば、彼ら「復讐屋」の“仕事ぶり”は、なかなかのものといえるだろう。

とはいえ、復讐を成就させて晴れやかな表情となる依頼者たちをよそに、視聴者目線では、それこそ『水戸黄門』のようなわかりやすい勧善懲悪劇にはない、独特な“後味の悪さ”を、この作品から感じることも事実だ。その理由はおそらく、拷問時に鴨ノ目が見せる陰湿な加害性に加え、そもそも鴨ノ目&虎信の復讐屋コンビもまた、本質的には「金で誰かを嬲り殺す」という外道であるからだろう。そして、一見何ら罪のない善良な人間に見える依頼人にしても、「金を払って加害者を拷問死へと追い込む」という外道ぶり。そこに情状酌量の余地はあっても、やっていることとしては、流しのヒットマンに金を渡して標的を殺させる反社とさして変わらぬ有り様となっているのだ。多少、義賊的な要素があるとはいえ、標的も復讐屋も依頼人たちも、基本的には外道。登場人物のほとんどが“普通の人”ではない外道であるというわけだ。

さて、こうした独特な“後味の悪さ”ゆえに、ストレートな勧善懲悪ドラマにはないリアリティと、魅力を感じさせるこの作品、クズに制裁を加え続ける外道コンビが、どのような“リアリティある生き様”を見せることとなるのか、なんとも気になるところだ。

『外道の歌』はDMM TVにて独占配信中

WHAT TO READ NEXT