REVIEWS丨2025.09.29
邪魔する奴は全員死亡… もはやホラー! 「北斗の拳」ケンシロウばりに哀しみを背負う元ヤクザの壮絶な復讐譚 Netflix『広場』

Netflixシリーズ『広場』
ここ数十年、韓国は世界的に優れた復讐バイオレンスアクション作品を数多く送り出してきた。パク・チャヌクの「オールド・ボーイ」やイ・ジョンボムの「アジョシ」ナ・ホンジンの「チェイサー」、キム・ジウンの「悪魔を見た」… これらの作品に共通するのは、容赦ない暴力描写、予測不能な展開、そして高い映像クオリティだ。Netflix『広場』もまた、その系譜にしっかりと連なっている。
主演のソ・ジソブが演じるのは、喪失の痛みを抱えながら復讐の道を突き進む、伝説の元ヤクザ・ナム・ギジュン。ヤクザたちをなぎ倒すその姿には、「北斗の拳」のケンシロウのような爽快感がある。
物語の始まりは11年前。伝説のヤクザだったナム・ギジュンは、足のアキレス腱を自ら断ち切り、裏社会から身を引いた。だが、平穏は長くは続かない。弟のギソク(イ・ジュニョク)が何者かに襲撃され死亡。ギジュンは封印していた過去を解き放ち、真相を突き止めるため再び修羅の道へと踏み込む。復讐の過程で彼が立ち向かうのは、若き狂犬のようなギャング後継者ク・ジュンモ(コン・ミョン)をはじめとした無数の敵対勢力。物語は単純な復讐譚に留まらず、裏切り、陰謀、そして復讐の果てに待つ代償といった要素が巧みに織り交ぜられている。

Netflixシリーズ『広場』
ナム・ギジュンというキャラクターは、言葉数は少なく、常にどこか悲しげな表情を浮かべている。その分、ソ・ジソブのアクションと表情芝居が際立つ。格闘シーンでは身体の重さや疲労感まで感じさせるリアルな動きで、数十人の敵を一人で制圧していく様は、もはやマイケル・マイヤーズと呼びたくなるレベルでホラーに近い恐怖を感じさせる。特筆すべきは、銃を極力使わず、接近戦にこだわったアクション演出だ。「ジョン・ウィック」のスタイリッシュな銃撃戦というよりも、「オールド・ボーイ」の狭い廊下でのバトルに近い。殴る、刺す、投げる。全身で痛みを描くそのアクションは、観る者にダイレクトに訴えかけてくる。
血の雨が降る骨太なバイオレンスアクションを探しているなら、『広場』はかなりの当たりだ。ジョン・ウィック風の設定を持ちつつ、韓国らしい泥臭さと情念をぶつけたこのシリーズは、やや荒削りな部分も含めて魅力的。重力無視の吹っ飛び方も含めて痛快アクションに仕上がっている。派手なガンアクションより、素手で殴り合うベアナックルファイトが観たい人。静かに怒る男が、静かに敵を蹴散らしていく姿が好きな人。Netflix『広場』は、その期待にしっかり応えてくれる。

Netflixシリーズ『広場』