REVIEWS丨2025.03.18
バイオレントにフィジカルに悪を潰す… 地獄が始まる 『デアデビル:ボーン・アゲイン』のイントロはスキップしてはならない

©︎2025 Marvel
近年のストリーミングサービスでは、視聴者が簡単にイントロをスキップできるようになっている。特に一気見する場合、タイトルを飛ばしてすぐに本編へ戻りたくなるものだ。しかし、『デアデビル:ボーン・アゲイン』のオープニングは必見だ。ニュートン・ブラザーズが手がけた新たなオープニングは、マット・マードック(チャーリー・コックス)の物語やニューヨークの現実を映し出し、シリーズのテーマを強調している。
Netflix版「デアデビル」のオープニングでは、血のような赤い液体が法の女神やヘルズキッチンの建物、橋、教会などを覆い尽くし、最後にデアデビルの姿が浮かび上がる。この演出は、暴力と犠牲が物語の中心にあることを示している。マットにとって、正義は時に力によってしか実現できないものであり、その暴力がニューヨーク全体を支配していることが伝わってくる。また、血は苦しみの象徴でもあり、マット自身の壮絶な過去を反映している。
『デアデビル:ボーン・アゲイン』のオープニングは、時間の経過と衰退を強調されている。世界中の視聴者を驚かせたフォギー(エルデン・ヘンソン)の死や、デアデビルとしての自分を捨てるマットの決意が描かれた後に流れるのが印象的だ。彼が仮面を投げ捨てるシーンから、警察の赤と青のライトが暗い灰色へと変化する演出は、過去のデアデビルの物語が終焉を迎えたことを示唆している。オープニングの映像では、崩壊するカトリック教会や、砕け散る「ネルソン&マードック」事務所の看板が登場。これは、マットが信じていた正義や友情、信仰が崩れてしまったことを象徴しているのだろう。

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しかし、希望の光も残されている。デアデビルのヘルメットの一部である小さな角が崩壊を免れ、それをきっかけに灰の中からデアデビルの姿が再び現れるのだ。これは、ニューヨークが再びデアデビルを求めていることを意味し、彼が「生まれ変わる」ことを暗示しているのではないだろうか。Netflix版「デアデビル」では完成された姿が浮かび上がっていたが、『ボーン・アゲイン』では傷つき、崩れかけた姿で終わる。これは、マット・マードックが経験した苦難や喪失を表しており、それでもなお立ち上がる意志を示している。
『デアデビル:ボーン・アゲイン』はDisney+にて独占配信中