SPORTS丨2025.03.18
「ピッチャー震え上がる」 大谷翔平、規格外の“新兵器”を手に入れていた…「60本狙ってる」 2発の豪快弾に見る変化

AP Photo/Hiro Komae
ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平が3月15日、MLBプレシーズンゲーム ロサンゼルス・ドジャース対読売ジャイアンツの一戦で、いきなり目の覚めるような豪快弾を放ったドジャースの大谷翔平。このアーチを生み出した大谷の“進化”が、ネット上で話題となっている。
この日、1番・DHで先発出場を果たした大谷は、2-0、ドジャース2点のリードの3回表・無死二塁の場面で迎えた第2打席、ジャイアンツ先発の戸郷翔征が投じた初球、真ん中やや低めの甘いゾーンへと入ったカーブを捉え、瞬く間にライトスタンドへと突き刺さる豪快な2ランを放つことに。このプレシーズンゲームでは、MLB側の守備時にはMLB球を、NPB側の守備時には、かねてより“飛ばないボール”と噂されるNPB球を使用する形となっているが、その差を感じさせない大谷の凱旋弾に、スタンドに詰め掛けた多くのファンは大興奮の様相を呈し、また、SNS上の野球ファンからも「なんなんこのホームラン」「飛ばないボールとは一体w」「規格外やん」といった声が巻き起こることとなった。
また大谷は、オープン戦の初戦となった2月28日(日本時間3月1日)開催のロサンゼルス・エンゼルスの第1打席、花巻東高校の先輩・菊池雄星がフルカウント投じた外角高め93・9マイル(約151km/h)の速球を振り抜き、レフト方向への先頭打者アーチを放ったが、このボール、エンゼルスバッテリーからすれば失投といえるものではなかった。なぜなら、昨季はこの“外角高め”を打ち損じる場面も目立っていたからだ。
“飛ばない”NPB球も物ともせず、昨季まで比較的苦手とされていた外角高めの力強い速球も造作なくスタンドへと運ぶところに、絶えず進化し続ける大谷ならではの“怖さ”が見てとれるが、こうした打撃の向上は、大谷自身の“進化”や“変化”だけではない。今季から大谷は、昨季よりも1インチ長い、35インチもの長い“物干し竿バット”を使用しているのである。
この35インチという長さは、MLBでも規格外クラスのもので、ニューヨーク・ヤンキースの“2メートル大砲”アーロン・ジャッジら数えるほどの選手しか使っていないもの。このバットに変えることで、大谷は昨季よりも遠い球を捉えられることはもとより、打球の性質としても、より鋭く、より強い打球を飛ばすことが可能となるが、良いことばかりではない。長くなる分、取りまわしが難しく、短いバットの感覚で振りに行くと、打ち損じが増えるリスクがあるからだ。つまり、この長尺バットを使いこなすためには、技術面での向上と工夫が必要不可欠。つまり、大谷が実戦でこのバットを使うようになったということは、それだけ技術面での向上があり、本人も「使える」と踏んだからだと考えて差し支えないだろう。SNS上では「60本狙ってる」「60-60狙ってるだろw」「ここまでくると恐ろしいw」「ピッチャー震え上がるな」「去年もバケモン成績だったのに変えるのスゴすぎ」と、改めてその変化に驚く声も巻き起こっている。
さて、前掲の2本のアーチは、いずれも“事象”としては単に大谷が放ったホームランでしかない。しかしこうした観点で見ると、それが単なる“事象”ではないことに気づかされるのだ。菊池からの先制弾も、戸郷からの凱旋弾も、昨季よりもさらに進化した“2025年版・大谷翔平”が持つ魅力の一端を垣間見ることができる場面であったといえるのかもしれない。