REVIEWS丨2024.12.10
盗聴・盗撮・不気味なメッセージ… 警察、FBIよりも強い“超危険なマフィア・5大ファミリー”に初めて捜査のメスを入れた男たち
マフィア映画と言えば『ゴッドファーザー』(1972年)、『スカーフェイス』(1983年)、『グッドフェローズ』(1990年)、記憶に新しいところでは『アイリッシュマン』(2019年)等々、巨匠フランシス・フォード・コッポラやマーティン・スコセッシがライフワークとして描いてきた。ファミリーの仁義や裏切り、裏社会に生きる者たちの生き様…マフィア映画が描く“闇”に惹かれる映画ファンは多く、名作の宝庫だということは言うまでもない。そんなマフィア映画好きにご注目してほしいドキュメンタリー作品がNetflix『フィアーシティ: ニューヨーク対マフィア』だ。
長年に渡りニューヨークの街を牛耳ってきたイタリア系マフィア。特に70年代~80年代にかけてアンタッチャブルな存在にして、全米で最も危険な犯罪組織として恐れられてきた“五大ファミリー”に初めて捜査のメスを入れようとした人々にフォーカスを当てる。ルドルフ・ジュリアーニ元NY市長やFBI捜査官たち、そして元マフィアの男たちの証言をもとに、当時を克明に振り返るドキュメンタリーだ。
麻薬取引で築いた資金力を誇示するように毎晩パーティ三昧で豪遊するマフィアたち。違法ギャンブル、殺人、資金洗浄……あらゆる違法行為に対し、警察もFBIも手出しできないほど強大な力を彼らは持っていた。巨大な組織、構成員を誇る五大マフィア。内部は下級構成員からボスまで階級分けされていた。通常犯罪の実行部隊は下級構成員で、逮捕されるとしても彼らだったが、新たにRICO法が成立したことによって、指揮者であるボスにも逮捕状を出せるようになる。
FBIはマフィア立件のため、あらゆる手段を用い水面下で本格捜査を開始。盗聴器、隠しカメラ、自動車での追跡等で証拠集めに奔走していく。マフィアのボスに対して心理作戦も実行した。バースデーカードやメッセージカードを匿名で送りつけて不気味なメッセージを発信しては、マフィアにストレスを与え、追い詰めて行く。
しかし、マフィアは建設業を始め海運業、ホテル業など様々な“合法”ビジネスにも関わっていた。あらゆる産業の労働組合を仕切っていたのがマフィアだったことが、FBIにとって大きな障害だった。わずか8社の建設会社がニューヨークのほとんどの建設業を仕切っていたが、どの会社もマフィアとつながっていた。彼らは談合を繰り返しては、マフィアに巨額の利益をもたらしていた。
そんな中、五大ファミリーの一角、ボナンノ一家のボスに君臨していたカーマイン・ギャランテが白昼堂々、ブルックリンのレストランで暗殺された。首謀したのは五代ファミリーの他の四つのグループのボスだったという。地道に立件のための捜査網を敷いてきたFBI。いよいよマフィアを検挙しようというその前日に、NBCテレビが逮捕の情報を嗅ぎつける。するとマフィアに先手を打たれる前に、予定より一日早めて逮捕劇を実行に移すのだった。
『フィアーシティ: ニューヨーク対マフィア』はNetflixにて独占配信中