SPORTS2025.04.23

「巨人もナメるなw」 菅野智之への“思わぬ酷評”が物議を醸す 米メディアの批判に騒然「打たせて取るから…」「三振スゴいって発想がw」

菅野智之

写真:AP/アフロ

MLBボルチモア・オリオールズの専門サイト『Birds Watcher』は4月20日(日本時間4月21日)、今季からオリオールズの先発ローテに入り、既に2勝を挙げている菅野智之を特集する記事を公開。その中で酷評ともいえる厳しい文言を書き連ね、物議を醸している。

これは『Birds Watcher』が公開したトレメイン・パーソン(Tremayne Person)記者による『This one stat might be Tomoyuki Sugano’s undoing in 2025(菅野智之、危うし?数字の裏に見える今季“失速”の兆し)』という記事で指摘されたもので、それによると同記者は、菅野の日本での実績や、オ軍入りの経緯などについて紹介した上で、ここまでの活躍について「開幕から4試合を終えて2勝1敗、防御率3.43という成績は“一見”堅調だ。」と、やや冷ややかな調子で書き始めると、「最も懸念されているのが奪三振率。わずか3.43という数字は、規定投球回に達したMLB投手88人中最下位。三振が奪えないという事実は、今のMLBで生き残るには極めて厳しい現実を突きつけている。さらに、被安打22(21イニング)、WHIP1.29と走者を許す場面も少なくなく、xERA(期待防御率)は驚異の6.42。これはMLB全体でも下位9%に位置するもので、“実力以上の結果を出している”と見る向きが強い」と、奪三振数の少なさや被打数の多さを問題視しつつ、菅野の成績について、まるで“運のおかげ”とでも言わんばかりに酷評することに。

さらに菅野の持ち味である老練な投球についても、「菅野はスプリッター、スウィーパー、フォーシーム、カッター、シンカー、カーブと6種の球種を巧みに織り交ぜる投球術で勝負しているが、そのいずれも球速は93マイル(約150キロ)未満。パワー不足を制球と緩急で補っているが、ひとたびカウントを悪くしたり、コースが甘くなれば、即座に痛打を浴びるリスクを孕んでいる。」とバッサリ。その上でパーソン記者は「経験と冷静さを武器に奮闘する菅野だが、その頼もしさの裏に潜むリスクを過小評価することはできない。ベテラン右腕に必要なのは、安定した制球力と相手打者の裏をかく投球の継続だ。だが、その精密な綱渡りに陰りが見えた瞬間、彼の旅路は急転直下で波乱の展開を迎えるかもしれない」と、今後、菅野の活躍に陰りが出ることを示唆する形となった。
この“思わぬ酷評”が日本のメディアを通じてファンに伝えられると、SNS上のファンからは「なんかすごいなw」「運も実力のうちだろ」「パワーだけでどうすんだよ」「打たせて取るから…」「巨人もナメるなw」「三振スゴいって発想がw」「球速くて三振多いのに打たれたらどうするんだよ」「菅野さんは数字だけじゃわからんのだよ」といった様々な“怒り”を感じさせる反応が。

菅野に関するパーソン記者の批評については、多くの日本のファンが反論しているように、“数字偏重型”であり、そもそも“批判のための批判”でしかないようにさえ見えない。何より、オリオールズの指揮官は、キャンプ中から菅野をベタ褒めし、先発の軸として起用し続けているからだ。仮にパーソン記者の言うように、菅野にネガティブな要素が多かったとしても、首脳陣からの信頼はなんら変わらない。なぜなら、そもそもオリオールズに菅野に代わる先発投手がいないからである。

オリオールズ投手陣全体の状況に目を向けると、4月22日時点で6人の投手が先発しているが、最も先発数が多い通算138勝のベテラン右腕チャーリー・モートンは、5回の先発で今だ今季未勝利で防御率も10.89と“問題外”の状況。菅野と同じく4回先発しているケード・ポビッチは0勝2敗で防御率6.38、ディーン・クレマーは2勝2敗だが、防御率は6.41。しかもこれら3投手の奪三振率に目を向ければ、さすがに“打たせて取る”菅野の3.43ほど低くはないものの、MLBの投手全体としては、モートン(9.15)、ポビッチ(8.84)、クレマー(5.95)と、いずれもそこまで高い数字ではないのだ。そもそも単に三振さえとれればいいというならばまだしも、アウトをとってナンボ、勝ってナンボ。「勝てる投手」「試合を作れる投手」という観点で、菅野が他の先発陣と比べて優れているという事実は揺るぎないのだ。
とはいえ、『Birds Watcher』は、そもそも菅野の入団時には浮かれた記事を書き、その後のキャンプ中にもその投球内容を絶賛。さらには菅野がア・リーグの新人王を獲得するという大胆な予想を示していたメディア。そうした意味でいえば、今回の“思わぬ酷評”は、ある意味、それだけ菅野への期待が大きいことへの裏返しでもあるのだろうし、そもそもまだシーズンは開幕したばかり。菅野にはこうした杞憂とも批判ともつかない外野の声を黙らせる投球に期待したいところだ。

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