CREATIVE丨2025.12.31
開拓精神でどこまでも行く フォード社とGoogle、アメリカ横断の未舗装ルートをストリート・ビュー化
フォード社とGoogleが共同で、アメリカを横断するオフロード・トレイル「トランス・アメリカン・トレイル」をストリート・ビュー化するというプロジェクトを完遂させた。
「トランス・アメリカン・トレイル」は、1984年に完成された極力舗装道路を使わないでアメリカを横断するというルート。その総距離は実に4,253マイル(6,845 km)にも及び、一般道のように信号やガソリンスタンドがあるわけではない。オフロード・バイクなどで走破することを前提とされており、いわば開拓以前のアメリカを体験できる、アメリカの冒険家やアウトドア愛好家にとっては憧れのロードである。
なのでこれまでGoogleのマップビューなどあるはずもなかったが、今回のプロジェクトでこの大自然の真っ只中をゆくトレイルの全ビューが完成。憧れの「トランス・アメリカン・トレイル」を走破する疑似体験もできるし、知られざるアメリカの雄大な大地を目で楽しむこともできる。インタラクティブなバーチャル・アウトドア体験としてかなり魅力的だ。
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19世紀に創設されたフォード社は、そもそも現代自動車の始祖とも言えるパイオニア的メーカーである。車輪をゴムで保護することでクッション性を実現したことは、現代の乗用車のサスペンションにつながる技術であるし、ベルト・コンベアの発明は自社製品の大量生産を実現しただけでなく、世界の産業全体に与えた影響は計り知れない。つまりこのプロジェクトには、自社の先駆的・先進的イメージを更新したいという狙いもあるのだろう。
アメリカの自動車技術とは、広大な大陸を横断し、隅々まで開拓してやろうというフロンティア精神の賜物とも言える。何もかもが白日の元に晒される現代においても、まだまだ人に知られざる道はあり、フロンティア・スピリッツがあれば誰でもアクセスできるのだ、と指し示すかのような野心的プロジェクトである。









