REVIEWS丨2025.04.09
巧妙に作り込まれたアクションと緻密な脚本が光る “謎の男”イ・ドンウクの魅力が爆発する韓国産スリラー『殺し屋たちの店』

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Disney+(ディズニープラス)の韓国ドラマ『殺し屋たちの店』は、巧妙に作り込まれたアクションと緻密な脚本が光る作品だ。1話の冒頭数分で視聴者を一気に引き込むスリリングなシーンが展開。これはシリーズ全体の面白さを確信させる。
主人公のジアンは、壊れた窓の縁で身を潜めている。部屋には意識を失った少年、負傷した腕を押さえる女性、そして遠くから狙撃手が銃を構えている。彼女が向こう側へ渡ろうとすると狙撃手が動きを封じる。ジアンは叔父のジンマンのアドバイスを思い出し、鏡とほうきを使って狙撃手の死角を見つける。そして冷蔵庫に飛び乗り、窓を越え、ソファの下から銃を取り出し、狙撃手に向けて構える。
このシーンに作品の魅力が凝縮されている。張り詰めた緊張感、スムーズで明瞭なアクション、そして過去の回想が自然に織り込まれた構成の巧みさ。叔父とのアイスクリームを食べながらの映画鑑賞という何気ない思い出が、現在の命懸けの状況と対比されることで、より深みのある演出になっている。
物語は、叔父が遺した武器庫付きのショッピングモールを受け継いだジアンが、突然襲撃を受けるところから展開する。シーズン1は1日という短い時間を描き、その中で叔父の教えを思い出しながら生き延びるために奮闘するジアンの決死のサバイバルする姿と成長が描かれる。現在の危機的状況と、過去の平穏な日常の回想が交互に描かれる構成も本作の大きな魅力だ。現代パートではドローンや刺客との戦いが続き、回想シーンでは叔父との関係や彼女の成長が描かれる。この二重構造が物語にメリハリをつけ、観る者を飽きさせない。
脚本にも一切無駄がない。40〜50分の各エピソードが全く冗長に感じられない。演出も見事で、スタイリッシュな映像美と滑らかなカメラワークが際立つ。アクションシーンは緻密に振り付けられており、観る者を引き込む。
このドラマの最大の魅力はキャラクターの力にある。イ・ドンウクはジンマンを冷静沈着でありながらも謎めいた人物として見事に演じ、キム・ヘジュンは若さと成熟のバランスを巧みに表現している。悪役を演じたソ・ヒョヌやチョ・ハンソンも印象的で、ミンヒやパシンといった仲間たちも魅力的だ。彼らの個性や関係性が、映像美、物語の没入感、アクションのダイナミズムを一つにまとめ、唯一無二の作品に仕上げている。アクション好きはもちろん、緻密なストーリー展開を求める人にもおすすめしたい作品だ。
物語のラストでは、清掃クルーが現れ、ジアンがタクシーから降りるジンマンを発見。2人は笑顔を交わしながら再会する。ジンマンの復活は謎を残したままだ。決定したシーズン2への期待が高まる。