SPORTS丨2025.04.12
打つだけじゃない… 大谷翔平の“わかりづらい”スゴさとは? 出塁しただけで脅威… 相手チームを撹乱するリードオフマンぶり

大谷翔平
写真:AP/アフロ
今季、盗塁3をマークしているロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平。昨季59盗塁をマークし、前人未到の“50-50”を達成したことを思えば、いささか物足りないように見えなくもないが、活躍できていないかといえば、そうではない。
今季の大谷は、二刀流の復活を予定していることや、昨季終盤に見舞われた故障の影響などから、当初は59盗塁をマークした昨季よりも“抑え気味”の走塁になると見られていた。たしかに盗塁数だけを見るとそれもあながち間違いではないかと思うが、開幕直後から大谷は積極果敢な走塁で立派にリードオフマンとしての役割を果たしていることが見てとれる。
4月5日(日本時間4月6日)のフィラデルフィア・フィリーズ戦では、3回表の攻撃で、大谷は四球を選んで出塁すると、いきなり大きなリードをとって相手バッテリーを挑発。実はこの大きなリードこそ、今季の大谷を象徴する部分なのだが、この場面では盗塁をしなかったものの、“走る構え”によって相手投手の制球が突如乱れ、3球続けてボール球となると、ストライク欲しさに甘く入った球を2番のムーキー・ベッツが狙い打ち、チャンスを拡大。見事、大谷の“足による撹乱”が成功した場面であった。こうした大谷の“足”を使った攻撃に、ネット上からは「有能すぎる」「斬り込み隊長」「走る気マンマン」「去年より派手さはないけど巧くなった印象」「たった1人で機動力野球をやる男」といった様々な声が巻き起こることに。
これ以外にも、盗塁をカウントされない場面でも果敢に進塁したり、振り逃げ可能な場面や当たり損ねの内野ゴロを放ったときなど、たとえ“ほぼアウトになる”とわかっている場面であっても、大谷は気を抜かずに全力疾走を見せることで、相手守備陣にとっては、片時も気の抜けない走者たり得ている。また、こうした個人成績に直結しづらい場面において、チームのために気を抜かずに先の塁を狙いにいく姿勢を絶えず見せ続けるという点も、リードオフマンとしては十分に称賛に値するといえる。ましてや、出塁率.431に加え、長打率.593、OPS1.023をマーク。打っても打たなくても塁に出て、ここまでの走塁をしながら、長打もあるとなれば、相手チームからするとたまったものではないだろう。
たしかに、打撃に関してはまだまだ本調子とは言えない。バットを長くした分、近い球を捌き損ねる場面も散見されることも事実であるが、これまでの大谷の“進化”を鑑みればそうした部分は今後改善されることは言うに及ばず。まずはその“進化”が完成する日を待ちつつ、“リードオフマン・大谷”の活躍を今季も楽しみたいところだ。