STREAMING丨2026.09.26
『ブレイキング・バッド』が堂々1位 「21世紀最高のテレビ番組100選」発表

Netflix
ニューヨーク・タイムズが、「21世紀最高のテレビ番組100選」を発表した。俳優、脚本家、プロデューサー、ショーランナーなど、テレビ界で活躍する500人以上の投票を集計した大規模なランキングだ。
投票者は、2000年1月1日以降に放送を開始した番組の中から最大10作品を選出。エリザベス・モス、キャスリン・ハーン、ジャンカルロ・エスポジート、マイク・マイヤーズ、キャシー・ベイツ、スティーヴン・キング、マット・グレイニング、『ゲーム・オブ・スローンズ』共同制作者のデヴィッド・ベニオフとD・B・ワイスらが参加した。
その頂点に立ったのは、2008年から2013年まで放送された『ブレイキング・バッド』だった。
物語の主人公は、ニューメキシコ州アルバカーキで暮らす高校の化学教師ウォルター・ホワイト。肺がんで余命わずかと告げられた彼は、妊娠中の妻と障害を持つ息子に財産を残すため、かつての教え子ジェシー・ピンクマンと手を組み、覚醒剤の製造に乗り出す。
当初は家族を守ることが目的だった。しかし、化学の知識を武器に裏社会へ踏み込んだウォルターは、次第に金と権力、そして自らの才能が認められる快感にのみ込まれていく。平凡で気弱だった教師が、麻薬王「ハイゼンベルク」へと変貌していく過程を、全5シーズンにわたって描いた犯罪ドラマだ。
最大の魅力は、善良な主人公が悪の世界に迷い込む物語ではなく、ウォルターの中に眠っていた野心や自尊心が少しずつ姿を現していく点にある。「家族のため」という言葉は物語が進むほど危うさを増し、その選択によって妻スカイラー、息子ウォルター・ジュニア、義弟ハンク、相棒ジェシーの人生まで壊れていく。
ウォルターを演じたブライアン・クランストンと、ジェシー役のアーロン・ポールによる演技も作品の核となった。支配する側と利用される側、教師と元生徒、犯罪の共犯者でありながら父と息子のようでもある。愛情、嫌悪、依存、裏切りが入り混じる二人の関係が、物語に強烈な緊張感を与え続けた。
犯罪サスペンスとしての面白さに加え、張り巡らされた伏線、色彩や小道具を使った演出、ブラックユーモア、先の読めない展開も高く評価されている。ウォルターが下した小さな決断が思いも寄らない惨事へつながり、過去の行動が忘れた頃に戻ってくる。物語を最後まで積み重ね、明確な結末へ導いた構成力も支持を集めた。
2位には、警察や麻薬組織だけでなく、港湾労働者、行政、教育、報道機関まで描いた群像劇『THE WIRE/ザ・ワイヤー』が入った。3位は1960年代の広告業界を通してアメリカ社会の変化を描いた『MAD MEN マッドメン』。4位にメディア王一族の後継者争いを描く『メディア王 ~華麗なる一族~』、5位にフィービー・ウォーラー=ブリッジによる『Fleabag フリーバッグ』が続いた。
6位は『ゲーム・オブ・スローンズ』、7位は政治風刺コメディー『Veep/ヴィープ』、8位は『30 ROCK/サーティー・ロック』、9位は『ラリーのミッドライフ★クライシス』、10位はドナルド・グローヴァーが手がけた『アトランタ』となった。
上位10作には重厚な犯罪ドラマだけでなく、政治風刺、ファンタジー、コメディー、実験的な群像劇が並んだ。11位以下にも『ザ・オフィス(US版)』『シックス・フィート・アンダー』『チェルノブイリ』『ザ・クラウン』『LOST』『ブラック・ミラー』『ベター・コール・ソウル』など、21世紀のテレビ表現を広げた作品が選ばれている。
Netflix作品では『ザ・クラウン』が20位、『ボージャック・ホースマン』が44位、『ハウス・オブ・カード 野望の階段』が48位、『ストレンジャー・シングス 未知の世界』が53位、『オザークへようこそ』が68位、『BEEF/ビーフ』が71位、『イカゲーム』が72位、『クイーンズ・ギャンビット』が81位、『ベイビー・レインディア』が89位に入った。
ケーブル局が牽引したテレビドラマの黄金期から、ストリーミングサービスの台頭、世界各国の作品が国境を越えて視聴される現在までを振り返るランキングとなった。その中で1位を獲得した『ブレイキング・バッド』は、主人公の変貌、緻密な脚本、俳優陣の演技、物語を最後まで完結させた構成力によって、21世紀を代表するテレビドラマに選ばれた。









